好きだなんて言わなければよかった【完】
私を呼んだ小夜子の方に振り返ると、彼女は、驚いたように目を丸くした。
たぶん、私が泣きそうな顔をしていたから。
たとえ、どんなに辛いことがあったって、私は、簡単に泣いたりしない。
それを知っている小夜子であるから驚いてるんだろうな。
そして、次の瞬間、
「…あの、私の友達に何か用ですか?」
小夜子は、真生くんと、慎也くんを訝しげに見つめながらおもむろに、そう問いかけた。
「紗綾の友達?はじめまして、幼なじみの橘 真生です。」