好きだなんて言わなければよかった【完】
――――…
「てか…紗綾…一体私がいない数分の間に何があったのよー!!」
少し、焦ったようにそう叫ぶ小夜子に私は、ゆっくり視線を合わせる。
そして、
「…わかんない」
ポツリと、一言そう呟いた。
「わかんないって言われても、こっちのほうがビックリしたんだからぁ!紗綾が泣きそうな顔してるんだもん、男2人に絡まれてるし、新手のナンパかと…」
そこまで、呟くと、小夜子は、ハァーッと、深いため息をこぼす。
たぶん、小夜子自身もかなり、緊張してたんだろう。
「…ゴメン、小夜子、迷惑かけた…」
私が、申し訳なさそうにそう言うと、
「何言ってんのー、誰も迷惑だとは言ってないわよ!ただ、ちょっと…まさか、こんなマンガ的展開になるなんて思ってもなかったんだもん!……じゃあ、最初から説明よろしくね」
そう言うと、にこやかな笑みを浮かべた。