好きだなんて言わなければよかった【完】
そう気合いを入れて、私は近くの椅子に腰をおろした。
そして、そのまま先ほど、冷蔵庫から取り出したタオルで目元を冷やしていると、
「あれ?姉ちゃん、起きてたの?」
リビングからそんな驚いたような声が響く。
「あ、旭、おはよ」
そこに立っていたのは、中学3年生になる弟、旭だった。
「旭、また背伸びたんじゃない?今、何センチよ?」
「え、あぁ、180くらいかな?」
中学に入った頃から急激に身長が伸び始めた旭は、昔の可愛らしい面影は、すっかり消え失せ、かなり逞しく成長していた。