好きだなんて言わなければよかった【完】
こんな時間にこんな所で待ち伏せしてるなんてもしかして、不審者なんじゃ…。
一瞬、そんな考えが脳裏をよぎったが、
「…あ、紗綾ちゃん!!よかった、帰ってたらどうしようかと思った」
…どうやらそんな心配は、無用だったらしい。
まるで、飼い主を見つけた犬のように喜ぶ彼に私は、内心、ため息をついた。
…昨日、会ったばかりなのに、何でそんなにフレンドリーに他人と接することができるんだろうか、この人は。
「…えっと、確か真生くんの」
「慎也です、麻木慎也」
あぁ、そうだった
私は、納得したようにコクリと頷く。
「で、麻木さん、私に何か用ですか?」