好きだなんて言わなければよかった【完】
「…そ、そうですか…」
あからさまにホッとした様子の私に今度は、慎也さんが怪訝そうな表情を浮かべた。
「…ね、紗綾ちゃんって真生と幼なじみなんだよね?なんで、そんなに真生を好きだってこと隠そうとするの?関係が壊れたくないからとか?」
矢継ぎ早に質問を重ねる慎也さん。
私は、そんな彼に、曖昧な笑みを見せると、
「…私は、もう何年も前に真生くんにフラれてますから」
ポツリと、一言そう呟いたのだった。