好きだなんて言わなければよかった【完】
だから、今日、来たのは、
紗綾ちゃんに、真生と何があったのか聞くためだったんだけど…
そこまで、考えてオレはチラリと、紗綾ちゃんの姿をとらえた。
未だに本心を見せないよう無理に笑みを浮かべる彼女に、なんだか胸がいたんだ。
せっかく、紗綾ちゃんと仲良くなれそうなのに、無理に真生との関係を聞いたりしたら、彼女は、どう思うだろうか。
…まだ、聞く時期じゃないのかもな
そう考えて、フーッと、軽く息を吐いたオレは、紗綾ちゃんに向かって、
「まずは、本当に友達になってくれると嬉しいな」
そう言うと、優しく微笑んだのだった。
慎也side*end*