好きだなんて言わなければよかった【完】
―――…
「じゃ、今日はここまで」
そう言って、教室を出ていく教授の後ろ姿を見送ったオレは、早々と帰りの支度を開始する。
すると、
「真生くーん、明日の合コンのことなんだけどぉ〜」
そんな甘ったるい声が隣の方から聞こえてきた。
「あのねー、近くの美味しいとこ、予約できたんだぁ、だから…」
「悪いけど、やっぱ、それパス、用事入ったから」
まだ、最後まで話しきっていない女は、急に言われたオレの言葉にポカンとした表情を浮かべる。
オレは、そんな女をよそに、
「慎也、帰るぞ」
教室の入り口でオレを待っていた慎也にそう声をかけた。
「へいへい、あ、愛華ちゃーん、オレも明日の合コン、パスねー」
そして、慎也も、未だに、ポカンとした表情を浮かべている女に、にこやかな笑みでそう言い放った。