好きだなんて言わなければよかった【完】

…正確には、オレのせいなんだけどな…。



そう思うと、どこか、自嘲的な笑みが漏れる。




そう、ガキだったオレのせい。



そのせいで、まだ小学生だった紗綾の心を傷つけた。







この前…紗綾は、笑顔を見せてくれたけど、どう見たって無理して作ってるのがすぐにわかった。




きっと、紗綾にとって、オレなんかもう過去の出来事の１つだし、避けられても仕方ない。




けど、紗綾は、もう一度、笑いかけてくれたんだ。




「本当に、紗綾の方がオレなんかよりずっと大人だよ」






失ってしまってから、本当に大切なものに気づくなんて…




本当に、バカだよな。





オレは、誰にも聞こえないような声でポツリとそう呟いたんだ。





真生side*end*