好きだなんて言わなければよかった【完】
――…けど、結局、いい案も思いつかないうちに、
「美生ちゃーん、おじゃましまーす!」
「あら〜綾乃ちゃーん!久しぶり〜どうぞ、どうぞあがってー、紗綾ちゃんも!遠慮しないでー」
「は、はい」
時刻は、午後7時。
約束の時間になってしまった。
「本当に久しぶりねー最近、夜勤また増えちゃってあんまり会ってなかったものねー」
「ほんとよー、綾乃ちゃんとちゃんと喋るの何日ぶりかしら?」
美生さんとお母さんが、そんな会話で盛り上がっているのが聞こえてくる。
…真生くん、もう来てるの…かな?
そう思いながら、私は、キョロキョロと辺りを見回してみた。
すると、
「あ、真生なら、今、買い出しに行かせたの!もうすぐしたら帰ってくるだろうから、リビングで待っててね」
「あ、わかりました!」
そんな私に気づいたのか、美生さんがそう声をかけてくれた。