エクスタシー 2 〜極貧のオンナ?〜
金持ちの娘なのに、過去の男遊びが祟って貧乏している可奈子を見ていると、こっちまで疫病神に取り付かれてしまいそうだった。

「先輩。食パン、どうぞ?」

可奈子が最後の一枚を差し出した。

「あ、あたし、お腹空いてないからっ」

逃げるようにして可奈子の部屋を出た。

―――やっぱり貧乏はイヤだ。

しみじみ思った。


ロビーのソファに座って息を整えていた時、ケータイが鳴った。

―――ヒロトだ!

ケータイの画面にその名前を見るだけで、低迷していた気分がゴージャスに華やいだ。
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