エクスタシー 2 〜極貧のオンナ?〜
「奥様はこちらへどうぞ」

悠斗が施術を受けているベッドの隣りに、ゆったりとしたチェアが置かれていた。

「お、奥様?」

聞き返した私に、悠斗がウィンクを投げてくる。

ま、いっか……。

私たちの関係を説明するのは難しいし。

「奥様の方は、お腹の赤ちゃんに障らないように、シトラス系のオイルを使ってソフトタッチのリフレクソロジーをさせて頂きますね」

「は、はい……」

マッサージなんてうけたことのない私は、チェアーに座ったとたん、また緊張しそうになった。

肘掛をギュッと掴んでいた私の手を、悠斗の手が握ってきた。

な、なるほど……。

やけにベッドとチェアの位置が近いと思った。

ペアルームってカップルにとって、そういうメリットもあるんだ……。

私はわけもなく感心した。

柑橘系のアロマ。

心地よいマッサージ。

「母親がリラックスしてると、お腹の赤ちゃんもリラックスするんだって」

悠斗の笑顔。

彼の手のぬくもり。

―――とても安心した。


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