エクスタシー 2 〜極貧のオンナ?〜
連れて来られたのは小さなプラネタリウムだった。

こんな所にプラネタリウムがあることなんて、誰も知らないんじゃないかと思うような古い住宅地の一角。

他に客の姿は見えない。

入り口で、悠斗が
「全席売って。貸切にしてくれる?」
と、チケットを買い占めた。


薄暗い館内に二人きりだと思うとちょっと緊張した。

「わ、私、ここに座っていいですか?」

悠斗が座ったシートの隣りの席をひとつ空けて座った。

彼はただ笑っていた。


すぐに上映が始まった。

『6月の夜9時頃、東の地平線で、ひときわ明るい星がベガです』

『この一等星ベガは、七夕の「織姫星」で、北欧では「夏の夜の女王」とも呼ばれています』

真っ暗になった天井に、夏の夜空が映し出され、ロマンティックな星座の解説が始まる。


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