エクスタシー 2 〜極貧のオンナ?〜
「一ヶ月。じっくり考えてごらんなさい」

藤山がニッコリ笑った。

「一ヶ月……」

ヒロトとの婚約破棄を決意するのに、そう長くはかからないような気がした。

何なら、今ここで結論を出してもいいぐらいだ。

「一ヶ月後に結婚退職するつもりでフライトしてごらんなさい。一ヶ月間、全力投球で働いてみたら、それで踏ん切りがつくかも知れないし、それでもまだ未練が残るかも知れない」

「も、もし、未練が残ったら……」

恐る恐る聞いた。

「その時は結婚を諦めて、一生CAの自分を貫きなさい」

ヒロトと結婚するか、永久に仕事を続けるか。

究極の選択を迫られ、あたしは卒倒しそうだった。

< 248 / 280 >

この作品をシェア

pagetop