エクスタシー 2 〜極貧のオンナ?〜
―――おっと。こうしてはいられない。

タケルの不機嫌な顔を思い出した。

急いで部屋に入ると、タケルはケータイで誰かと喋っていた。

チラッとこっちを見た彼は、私に向かって唇の前に人差し指を立てて見せた。

『静かにしろ』というジェスチャー。

「だから今日は急用が入って……。わかってるって。この埋め合わせはするから」

その会話を聞いていて、タケルが今日の仕事を早めに切り上げて帰ってきたのだとわかった。

―――多分、私のために。


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