エクスタシー 2 〜極貧のオンナ?〜
しばらくしてキッチンに入ってきたタケルは、黙って冷蔵庫を開けた。

私はキッチンカウンター越しに声をかけた。

「ごめんね。熱が下がったこと、メールしたんだけど、間違ってお姉ちゃんのアドに送っちゃって」

「ああ……」

もう怒っていたことも忘れていた様子。

中から缶ビールを取り出した彼は、バタンと冷蔵庫の扉を閉めた。

タケルは私の横に座って、ビールの缶をカシッと開けた。

「あ、あのね……」

「うん?」

タケルがテレビのリモコンに手を伸ばしながら、聞き返してくる。

―――画廊の仕事、ずっとするの? 

その質問をどうしても口に出すことが出来なかった。




< 48 / 280 >

この作品をシェア

pagetop