エクスタシー 2 〜極貧のオンナ?〜
結局、いつもの二倍の仕事をこなすハメになった。

怒涛のミールサービスが終わり、やっと機内が薄暗くなった。

―――これで一息つける。

ホッとしてコーヒーを飲んでいるところに、アイスクリームを配り終えた可奈子が戻ってきた。

「せんぱーい。私、お腹すきましたぁ」

可奈子がギャレーの床に座り込んだ。

乗務員は基本的に担当するコンパートメントの乗客と同じものを食べる。

「ミールのグラタンなら余ってるけど?」

「食べます、食べます」

重役の娘とは思えないようなガッツキ方。

床にしゃがみこんだまま、無心にフォークを動かしている。

あたしは身震いした。

「沢井さん。こんなマズイもの食べて太ったら、悲しいと思わない?」

「先輩、それはお客様に失礼です」

―――生意気に。あたしに意見するなんて百万年早いっつの。
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