エクスタシー 2 〜極貧のオンナ?〜
「沢井さん! ミールカート、固定されてるか確認して! あたし、客室みてくるから!」

ひきつる顔に必死で笑顔を浮かべてキャビンに入った。

「大丈夫ですから落ち着いてシートベルトをなさって下さい」

通路をゆっくり歩きながら、乗客ひとりひとりに微笑みかける。

もちろん、この『大丈夫』には根拠はない。

客室を見回っているあたしの後ろから、背後霊みたいに可奈子がついてくる。

「いーなー、先輩。キャプテンに誘われて」

無視してもずっと同じことを言いながらついてくる。

「いーなー」

「いーなー」

―――あー! もうっ!

あたしは可奈子を振り返った。

「わかったから。あんたも連れてってあげるから、今は仕事して。赤木パーサーに怒られる前に」

「はい!」

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