エクスタシー 2 〜極貧のオンナ?〜
玄関にハーフみたいに彫りの深い顔をした男の人が立っていた。

腕に抱えた真っ赤な薔薇がかすむぐらい美しい。

「タケルさん。車、前の道に路駐なんすけど、いいっすか?」

「ああ、細かいこと気にすんなって。上がれよ」

―――ええーっ? 

近所のご意見番、紫の髪のオバサンを思い出し、私は慌て外へ飛び出した。

一方通行の細い道に、バットマンカーみたいな形の巨大なカマロが置いてある。

そしてその後ろにフェラーリだのジャガーだの高級外車がずらずら並んでいる。

降りて来るのはシャンパンを持ったジャニーズ系や、リボンのかかった箱を抱えたモデルみたいな人たち。

夜の匂いのする綺麗な男たちが次々と我が家へ入って行く。

―――む、無理だ。なんで一台に分乗して来ないんだろう。

夜行性の人たちに一般人の常識は通用しないんだろうか。

交通整理を諦めた私は、逃げるように自宅へ駆け込んだ。

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