エクスタシー 2 〜極貧のオンナ?〜
「はい」

ドアを開けると、廊下に大島が立っていた。

「関谷くん。忘れ物」

「え?」

あたし、何か忘れ物したっけ?

「オレ、オレー」

出た。

詐欺師のような軽さ。

「間に合ってます」

閉めようとしたドアの隙間に大島の安全靴。

なんで、この人、パイロットのくせに安全靴はいてるわけ?

「こんなこともあろうかと思って、この靴、さっき小姐ロードで買ったんだ」

意味がわからん。

「安全第一。な? 関谷くん」

そう言ってあたしの肩を叩いた大島は、腹を押さえてゲラゲラ笑っている。

―――そうとう酔ってるな。
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