漆黒のプリンセス
気がつけば私は横断歩道の前に立っていた。
信号が青にかわって一歩踏み出そうとしたんだけどどうも踏み出す勇気がなかった。
私のうしろや横にいたサラリーマンや中高生の背中を見送って
全員わたったのを確認すると、再び私もあるきだす。
横断歩道の真ん中辺りまで来た時、何か嫌な予感がして
パッと横を見てみる。
そこには信号無視をした車が、私の方に向かって走ってくるのがみえたんだ。
運転手は気づいてないらしく、呑気に車を走らせてる。
横断歩道を渡りきった人々が私をみて驚いているのは見えなくとも想像できた。
"早く逃げなきゃ"
そう思い急いで逃げようとするんだけれど、
恐怖のあまりどうも足が言うことを聞いてくれない。
「お願い動いてッ・・・・」
今にも泣き出しそうな声でお願いをしてみるけど
足がはいわかりましたっていって動いてくれるはずがない。
車はもう寸前まできている、やばい、すっごいやばい
「ーーーーーッ!!!!!」
車の急ブレーキ音と、私の悲鳴が重なって
私はそのまま意識を手放した。