幼なじみは年の差7歳
冬馬兄ちゃんの家。
見慣れた家。
一緒にご飯を食べた家。
笑い合った場所――。
「美和と二人で話してもいいかな?」
良明くんを見つめる冬馬兄ちゃん。
良明くんは私をチラリと見た後、小さく頷いた。
「良明には私から説明するから」
麻実ちゃんが目を逸らしたまま言う。
みんな何かを決意したような、そんな顔だ。
「……麻実はリビング使って。俺たちは上で」
麻実、って呼び捨てだ。
前は「ちゃん付け」してたのに。
やっぱりそうゆう関係なんだ……。
ヤダ、キキタクナイ――。
「美和っ!!」
私は走り出していた。
良明くんの手からは既に解放されていて、いつでも走れるようになっていた。
そして私は走り出した。
「……麻実、良明くんに説明しといて」
「う、うん」
「頼む」
追い掛ける冬馬兄ちゃんから逃れようと、私は必死に走った。