幼なじみは年の差7歳
イヤダ、ハナシテ……!
「聞いてくれ、頼むから」
「イヤッ!離して!!」
「美和っ!」
私の精一杯の力で腕を離そうとする。
けれど男の人の力はやっぱり強くて、私を離してはくれなかった。
目が合った時、私は……――。
冬馬兄ちゃんを叩いていた。
静寂の中に広がる乾いた音。
瞬間、冬馬兄ちゃんの腕の力が弱まり、私はまた走り出すことが出来た。
初めて人を叩いた。
しかも、大好きな人を……。
数メートル離れ振り返ると、冬馬兄ちゃんは立ち止まったまま頬を押さえていた。
ズキッと痛む胸。
でも今更、冬馬兄ちゃんの元には戻れない。
「ごめん」
私は小さく言い、また走り出す。
だけどすぐに私は、走ることをやめていた。
自らやめたわけじゃない。
私は――。