幼なじみは年の差7歳
記憶が戻ったことを知った冬馬兄ちゃんは、一人で病室に来た。
「お土産は?」なんて聞いた私に「え?」と間抜けな返事。
冬馬兄ちゃんは、私に話があって来たんだ。
わかってる。
今度は私、逃げないから。
「……記憶、戻ったんだ?」
「……うん。一晩経ったら思い出した。
事故に遭ったっていう瞬間は記憶に無いんだけどね」
「そっか」
静かな病室。個室だから尚更だ。
廊下では子供の走り回る声がする。
冬馬兄ちゃんは何も言わない。
だから私が言った。
「今度は逃げないから。ちゃんと聞くから」