幼なじみは年の差7歳
「携帯忘れたみたいなんだけど、無い?」
ドアの向こうの声はいつもと同じ。
私は小さな返事をし、ドアを開いた。
「はい。
忘れるなんて珍しいね」
なんとか笑顔を作り、普通を装う。
冬馬兄ちゃんはそれを受け取り、部屋に一歩足を踏み入れる。
「あのさ」
冬馬兄ちゃんは視線を落とし、呟く。
「……心配しないで?俺は大丈夫だから」
私が携帯を開いたことを知っているかのような、そんな目。
心配って……何?
問おうとする私の口は、冬馬兄ちゃんの名前を呼んだ所で止まる。
「んっ」
キスで口を塞がれ、突然のことで息が詰まる。
「今は、聞かないで」
そう言って冬馬兄ちゃんは部屋を出た。
小さく咳込み、冬馬兄ちゃんが出ていったドアを私はただ見つめていた。