幼なじみは年の差7歳


良明くんは振り返らず人混みの中へと消えていった。


私は良明くんのことをいつまでも見ていた。
見えなくなってもずっと視線はそのままに。



「……帰る?」


どこか申し訳なさそうに聞く冬馬兄ちゃんに、私は頷いた。

服から手を離し、今度は冬馬兄ちゃんの手を握る。


恐い。

これから先どうなるのか、恐かった。



「ごめん」

……なんで謝るの?

冬馬兄ちゃんは何も関係ないのに……。


冬馬兄ちゃんの手は、なぜだかとても熱くなっていた。




.
< 44 / 231 >

この作品をシェア

pagetop