幼なじみは年の差7歳
良明くんの声が耳元でする。
震える声。
「あぁ頑張って言ってくれたんだ」なんて考えられる程、私には余裕があった。
だって、答えはもう決まっていたから……。
「私ね、良明くんのこと好きになってたよ。
付き合うことが出来て本当によかったと思う。
でもね、今はもう、良明くんの気持ちには応えられない」
「……冬馬さん?」
小さく頷く。
「叶わないかもしれないけどね、やっぱり冬馬兄ちゃんが好き。
だから……ごめん」
あの日以来冬馬兄ちゃんのこと避けてきている。
でも、それは冬馬兄ちゃんが好きだから……。
好きだから恥ずかしくて、顔を合わせづらいんだと思う。
冬馬兄ちゃんには一度フラれてしまったけれど、でも――。
「諦めたくないんだ。冬馬兄ちゃんに気持ち伝えたいんだ」
もう幼い頃の私じゃない。
ガキじゃなくなった私を、見てもらいたい。
「そっか」
良明くんの声はどこか寂しそうだ。
そうさせたのは私なんだけど……。
「ごめんな」
言って良明くんは階段を降りていった。
「ごめんね」
私もまた小さく呟いた。