幼なじみは年の差7歳


「ノックしたんだけど返事なかったからさ、勝手に入っちゃった」

上半身を起こすと、その隣に冬馬兄ちゃんが座る。


「……今日、出掛けてたんじゃないの?」

そうだよ。麻実ちゃんと一緒だった。


なのになんで今ここに居るの?


「出掛けてたけど、もう済んだから帰ってきた。それだけだよ」


麻実ちゃんのことは言わない。当然か。


私に黙って付き合ってるんだもん、言えないよね。


「これお土産。渡す為に来たんだ」

可愛いケータイストラップ。

届けに来てくれたんだ。

私なんかの為に。


最近ずっと、話してなかったのに。



「なんで……?」


震えが止まらない。

そして涙も。


そんな私を見て、驚く冬馬兄ちゃん。



「どうした?俺なんかした?」


優しい声を聞きながら私は冬馬兄ちゃんに言った。


「なんで付き合ってもいない私に優しくするの……?」
< 95 / 231 >

この作品をシェア

pagetop