私と兄の関係
「ねぇ、健斗。私じゃダメー? 私じゃ健斗の好きな人の代りになれない? 私、本気で健斗の事好きなんだよ」

その女の人が甘えた声で言った。

そんな甘えた声で言わないでよ。

えっ、代り?

お兄ちゃんの好きな人ってこの女の人じゃないの?

でも、よかった……

お兄ちゃんの好きな人がこの女の人じゃなくて……

私は、そっと胸を撫で下ろした。

「ごめん……悪いけど、麗華とは付き合えない。俺は、どんなに叶わなくてもあいつしか考えられないんだ。それに俺じゃなくても麗華ならいっぱい男が居るだろ?」

お兄ちゃんが言った。

えっ、いっぱい男が居る?

それなのにお兄ちゃんまで……

「そりゃー、そうだけど私は健斗がいいの。でも、仕方ないな~。それじゃその好きな人と会わせてよ」

麗華さんが言った。

お兄ちゃんの好きな人?

私も見たい。

「ああ、いいよ……それで諦めてくれるんなら……」

お兄ちゃんは、あっさりそう言った。

「健斗にそんなに好かれるなんて羨ましいな~。よっぽどその人、可愛くて優しい人なのね。早く会って見たいな~」

「おお、そうだよ。可愛くて優しい子だよ。麗華も見たら分かるよ」

お兄ちゃんは、笑いながら言った。

そんなにその子の事が好きなんだ。

「じゃあ、早く会わせてね。じゃあ、映画見に行きましょう」

「おう」

えっ、こっちに来るの?

ヤバイ……バレる……

私は、急いで逃げようとした。

ドサッ

私は、石に躓いて転んだ。

「痛ッ……」

足に血が出ていた。

私は、足を押さえた。

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