【完】最強の男に寵愛された姫
「お前に何が分かる」






彼は悲しいんだ。






愛している人に捨てられたこと。






私と一緒だ。






私が親に見放された時と同じ気持ちなんだ。






「私ね・・親に二度も捨てられたんだ。」






「はっ?」






突然話し出した私に彼は眉を寄せた。






「生まれてすぐに施設に入れられて、そのあとに有名な財閥の夫婦に引き取られて、いい子にしていれば勉強が出来たら、優しく大事にしてくれた。私は嬉しかった。生まれたときから愛情を受けずに育った私には裏に何の思惑があろうと大事にしてくれている・・それだけで嬉しかった・・・。なのに・・・」






「・・・」





彼は黙って私の話を聞いていた。





「私は学年でいつも成績はトップだったの。お嬢様の小学校だから、それなりに難しかった。だけど、テスト勉強をしたら何とか大丈夫だった。でも、小学5年生のテスト前に風邪引いてテストがどうとかじゃなかったの。テスト勉強もしないまま、テスト当日になってしまった。だからかな・・・トップじゃなくて2位になってしまった。それから変わってしまった。」





「・・・」





顔を歪めて感情のない声で話す私に彼も顔を歪めていた。





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