【完】最強の男に寵愛された姫
あの家族の前は通りたくないと思い、わざわざ遠回りをして外へと出た。
施設の外にあるたくさんの遊具の中を私より小さい子や大きい子同じくらいの子が走る中真ん中のジャングルジムの一番上に登り空を見上げた。
昔のように私を笑っているように見えた。
私は空から視線を外し、周りを見渡した。
こんなにも笑顔溢れる施設の子達、私だけがどうしてか笑っていない。
恐らく大きな違いはみんなひとりじゃないこと。
昔言われたことを思い出した。
『私たち家族ならない?』
品のある女の人そう言って私に手を差し出した。
今なら絶対にその手を取らないと心から思う。
素直にその手を取ってしまったあの時の自分の首をしめてしまいたいとも思える。