花の園のお姫様
大きな車の中で、私はずっとソワソワしていた。
「あらあら、優様、少しは落ち着いたらどうです?」
美樹さんはそんな私を見て呆れたように眉をひそめた。
「無理ですよ!」
私は緊張やらなんやらで、ずっと鏡を見て見出し並みを整えたりバックのなかをあさったりしていた。
なんせ私史上初の男装をしているんだから!
これから私は私立の名門高校の帝慶学園に行くのだ。
そこは全寮制の男子校で、
私は男子生徒として転入する事になっている。
この帝慶学園寮は一人に一部屋づつ、どでかい自分の部屋があることと、大学までエスカレータ式なのにもかかわらず何人もの東大合格者を出していることで有名だ。
私は中でも初めての寮生活を一番楽しみにしている。
友達たくさんできるかなぁ♪
制服は白いワイシャツに落ち着いた深緑のネクタイ。
ブレザーは濃い紺色で、ワイシャツの襟には淡い緑に大きく帝の文字が入った校章を付けている。
男のような容姿をしていなくてはならないため私は胸にさらしをグルグルと巻いている。
そこまでふくよかでもない私の胸はいとも簡単に潰れてしまい、一人で落ち込んだこともあった。