花の園のお姫様
「へ、へぇぇ...」
思わず苦笑いでごまかした。
壱村君は木製で色々な彫刻がしてある大きな扉の前で足を止めた。
「ほら、着いたぞ。
ここが理事長室だよ。
じゃあな。」
壱村君は手を上げて来た道を戻りだす。
「え!?いっちゃうんですか!?」
私は咄嗟に彼を引き止める。
「当たり前だろ。
俺が一緒に理事長にあってどうすんだよ。
それに俺もう遅刻しちゃってて...
四時間目には間に合いたいんだ。」
「あ、そっか...」
それもそうだよね。
私はお昼ぐらいに学校に来いって言われてて、
皆はもう授業をしていたんだった。
なんか申し訳なかったなぁ...
「そうですよね!
お時間を取らせてしまってすみませんでした!
じゃ、ありがとうございました!」
私はにっこり微笑んで
ペコリとお辞儀をする。
「おう」
ちょっと照れた感じの壱村君を見送って
私は理事長室の扉をノックした。