花の園のお姫様
チョキ...チョキ...
♪〜♪~♪♪〜
私の部屋には髪を切っているはさみの音と、私の口笛が静かに響く。
「さあ 優様、眼を開けて鏡をご覧になって下さい。」
お世話役の美樹さんが私の髪をとかしながら言う。
「えぇっ!?
もう切り終わったの!?」
「はい。癖がなく、とても美しくて切ってしまうのがざんねんでしたわ。」
栗色の髪をふるりと揺して、
美樹さんは私に笑いかける。
「み、美樹さん、怖いよぉ」
「大丈夫ですわ」
「ほら、早く」
「わかってるってば!」
「でもバッサリ切っちゃったからなぁ...」
「もう!何渋ってらっしゃるんですか!
私がその目をこじ開けて差し上げましょうか!?」
急に美樹さんの手が顔にふれて私は思わすビクッとする。
「い、いいですっ!」
私は慌てて両手をふって断った。
仕方ないじゃん、緊張するんだからぁ!
いままで私の髪はずっと腰のあたりまで長く伸ばしてあった。
小さい頃から同じ黒髪にストレートな髪型だったため、男の子のようなショートカットの自分なんか想像つかない。
「よし!」
私はゆっくりと眼を開けて、
俯いていた顔を上げた。