花の園のお姫様
「私は貴方が生まれた頃からの
ありとあらゆる写真をもっているのですよ?」
美樹さんは相変わらずにこにこ微笑みながら、フローラルの柔軟剤のいい香りを振りまいている。
...美樹さんってちょっと変態なのかな...
私が一人でそんな事を考えていると、彼女の手が伸びてきて私の頭を優しく、ゆっくりと撫でた。
「み、美樹さん?」
私を無言で撫でる美樹さんを見上げると、眉に皺を寄せて寂しそうに微笑んでいた。
「あ、あの...
どうしたんですか?」
私がおそるおそる聞くと美樹さんははっとしてすぐに真剣な顔つきに変わった。
「優様、私のお願いを聞いてください。」
美樹さんはゆっくりと私の肩に両手をのせる。
「へ?
あ、あぁ、なんですか?」
いきなり真剣に話し出すので変な声をだしてしまった。
「いいですか、絶対に、無理はしないで下さい。
貴方は強くない。
貴方の心は折れやすいのです。
私は何年も貴方をこうしてそばで見守ってきました。
私にだって少しは貴方の事ぐらいわかります。」
「...ど、どうしたん...ですか...」
ぎゅっと肩を掴まれて
思わず語尾が小さくなる。
美樹さんの顔が
悲しそうに歪んだ。