花の園のお姫様






先生は俯きがちに顔を私に向けた。




「怖く...ないのか?」


「うん、
全然怖くないです。

寧ろ、ずっと見ていたい。」




私は吸い込まれそうに綺麗な彼の色の異なった両目を見て溜息をついた。




「西園寺」



先生がまた、
私を呼ぶ。




どうして?



どうして



そんなに悲しそうなの?




先生に見つめられて、思わず赤面してしまう。



ふいっと顔を反らす。



目に入る沢山の真っ赤なガーベラ。




「これは先生が育ててるんですか?」


「そうだ。」




植わっているガーベラにかかっている水の雫が、月明かりに照らされてキラキラと輝いていた。




見とれていると、私の頬に先生の手が触れた。



ドキッとして先生を見る。







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