花の園のお姫様
今まで西園寺家は生まれてきた長男が家を継いできた。
継ぐのにふさわしい男になるように旦那様は物凄く修行をされた、と使用人から度々聞かされたものである。
それに比べ兄はもう既に完璧だった。
父はたまに帰ってくると、絶対に兄を褒めた。
大好きな兄が褒められることは
私にとっても凄く嬉しいことで、毎回一緒になって喜んだ。
でも、いつからか私は、
兄に嫉妬するようになったのだ。
なんでも出来て、皆からの注目も独り占め。
羨ましくて仕方が無かった。
私は兄のようになれるように、たくさん、たくさん、努力した。
小学校では積極的に学級委員補佐を、
成績は学年二位、
かけっこでは学年四位...
でも、兄はどれも一番だった。
私がどれだけ頑張っても、
父の中でだって、
兄はずっと一番だったんだ。