花の園のお姫様
まだ私が小学四年生で、
兄が中学二年生だったある冬の日
私は学校帰りにある交差点に向かっていた。
いつも、学校が違う兄と一緒に帰るためにそこで待ち合わせをしていたのだ。
その日私は委員会があったため、
待ち合わせている時間よりも三十分程遅れてしまっていた
私は走って交差点まで急いだ。
交差点につくと、
肩で息をしながら兄を探す。
兄は電柱にもたれ掛かって本を読んでいた。
ほっと溜息をついて信号を待つ
1人の幼稚園ぐらいの女の子が反対側の道を走っていた。
女の子は何かにつまずいて転んでしまった。
手に持っていた白いくまのぬいぐるみが
道路に転がる
女の子は道路に飛び出した。
信号はまだ赤にはなっていない
大型のトラックが凄いスピードで彼女に近づいてきていた
人々がざわめき出す。
不思議と足が勝手に動く。
助けなきゃと思ったんだ。
足には自身があった。
自分の腕を精一杯伸ばして、
私は女の子を突き飛ばした。