ソリューションby君にスイートな運命を
8.森へ
「あそこに見える城が、ルカリオのいる城だ。ここから歩いたら、夜ということもあり、3〜40分位と思う。途中に、予言の家がある。そこへ寄ってから、城へ向かう」
と、ミシェルが説明した。
ミシェルがレジ袋を持ちながら、先に歩き始めると、直哉はレジ袋を1つ取り上げた。
「ありがとう」
ミシェルはすぐにあたし達に背を向け、先に進んだ。
星明かりにそっと照らされている夜道は、周りにあたし達の他には誰もいない。
あたし達はミシェルのあとに続き、森へ向かって歩いた。
「君達の世界は、夜でも人通りが多いな……」
前を歩くミシェルが、振り返りながら、呟いた。
「日本は平和だからだろ……」
直哉も呟くように、返事をした。
「平和が一番いいな。私が君達の世界の過去での、フランスにいた時のルイは、それはもう夜通し乱痴気騒ぎ、明け方に寝て、昼近くに起きて、遊んでるのか仕事してるのか、挙げ句は……」
そこでミシェルは言葉を切った。
「ルイの孫は、可哀想だったな……」
と、ポツリと言った。
あたしはまた前を歩くミシェルの後ろ姿を見ながら、必死に授業で習った世界史を思い出してみた。
そして、授業を行う学校に思いを馳せた。
ゆとり教育の弊害が言われ始め、学校というのは、過熱した教育か、ゆとりのままかどちらかに二分された。
あたしも菜摘も、親の敷いたレールの上を言われるがまま歩いている。
直哉はいいとして、菜摘は本音はどうかわかんないけど、
あたしには、そのレールが重い。熱すぎる。
高校なんて、名前こそ知られてるかもしれないけど、
親と先生の期待は、ただの圧力であり、期待に応えたい気持ちと、本音とで、心が歪みそうだ。
その心のままに、いつか大学から社会に出るのだ。
そんな気持ちの大人が、これから社会に溢れ出るのだ。
同じクラスのあの子、隣のクラスのあの子、上の学年のあの人……あたしと同じように、心がねじ切れそうな子達は、
恋愛に逃げるか、万引きや、タバコ、夜遊びに逃げる。
あたしは直哉がいるから、救われてるけど、先のことなんかわからない。
あたしなんか、22歳の時なんて、ろくでもない大人になってると思う。
そんなことを思いながら歩いているうちに、やがて森の入り口に着いた。
森は高い樹木が連なり、星明かりが届かない。
ミシェルは、ポケットから、折り畳み式のようなランタンを出した。
ランタンの灯りは強く、あたし達4人が歩くのには十分だった。
と、ミシェルが説明した。
ミシェルがレジ袋を持ちながら、先に歩き始めると、直哉はレジ袋を1つ取り上げた。
「ありがとう」
ミシェルはすぐにあたし達に背を向け、先に進んだ。
星明かりにそっと照らされている夜道は、周りにあたし達の他には誰もいない。
あたし達はミシェルのあとに続き、森へ向かって歩いた。
「君達の世界は、夜でも人通りが多いな……」
前を歩くミシェルが、振り返りながら、呟いた。
「日本は平和だからだろ……」
直哉も呟くように、返事をした。
「平和が一番いいな。私が君達の世界の過去での、フランスにいた時のルイは、それはもう夜通し乱痴気騒ぎ、明け方に寝て、昼近くに起きて、遊んでるのか仕事してるのか、挙げ句は……」
そこでミシェルは言葉を切った。
「ルイの孫は、可哀想だったな……」
と、ポツリと言った。
あたしはまた前を歩くミシェルの後ろ姿を見ながら、必死に授業で習った世界史を思い出してみた。
そして、授業を行う学校に思いを馳せた。
ゆとり教育の弊害が言われ始め、学校というのは、過熱した教育か、ゆとりのままかどちらかに二分された。
あたしも菜摘も、親の敷いたレールの上を言われるがまま歩いている。
直哉はいいとして、菜摘は本音はどうかわかんないけど、
あたしには、そのレールが重い。熱すぎる。
高校なんて、名前こそ知られてるかもしれないけど、
親と先生の期待は、ただの圧力であり、期待に応えたい気持ちと、本音とで、心が歪みそうだ。
その心のままに、いつか大学から社会に出るのだ。
そんな気持ちの大人が、これから社会に溢れ出るのだ。
同じクラスのあの子、隣のクラスのあの子、上の学年のあの人……あたしと同じように、心がねじ切れそうな子達は、
恋愛に逃げるか、万引きや、タバコ、夜遊びに逃げる。
あたしは直哉がいるから、救われてるけど、先のことなんかわからない。
あたしなんか、22歳の時なんて、ろくでもない大人になってると思う。
そんなことを思いながら歩いているうちに、やがて森の入り口に着いた。
森は高い樹木が連なり、星明かりが届かない。
ミシェルは、ポケットから、折り畳み式のようなランタンを出した。
ランタンの灯りは強く、あたし達4人が歩くのには十分だった。