夢幻の魔術師ゲン
我ながら、よく自ら身を危険にさらすような真似をしたと思う。
一歩間違えればあの酒場で男たちに捕まり、何をされていたかわからない緊迫した状況だったのだ。
しかし、たとえ気に入らなくてもライルは従兄で同じ屋敷の同居人、いわば家族だ。
それ以前に、人として危うい状況にある人間を見過ごすことなど、ステラは絶対にしたくなかった。
人目に付きにくい道筋へ足を運ばせ、男たちとの距離は徐々に遠ざかってきた。
逃げ切れる。
そう思った時だった。
ーーパァンと、突如として発砲音が聞こえた。
かすかに鼻につくこの臭いは火薬だろうか。
いつの間にか、無意識に、脱力して、ステラの体はぐらりと地面に向かって傾いた。
「あ……」
そのまま、勢い余って路上に倒れこんだ。
ステラは自分の右肩に視線を移すと、肩口から生温かいものが腕に伝わった。
銃弾が、ステラの肩をかすめていた。
(血……? 私、撃たれたの……?)
「邪魔をしやがって……、おい女、起きろ!」
撃たれた側の肩を掴まれ無理やり起こされたステラは、男二人に後ろから両腕を締め上げられた。
「手間をかけさせるんじゃねえよ。お前のせいでライルの馬鹿が逃げちまったじゃねえか。どう落とし前つけてくれるつもりだ? あぁっ?」
怒声を浴びせた男はステラの頬を平手打ちした。
そして、男は乱暴にステラの寝衣に手をかけると、憂さ晴らしでもするかのごとくボタンごと衣服を引きちぎる。
「きゃああっ」
胸元が露わになり、ステラは恐怖で叫んだ。
彼女の体をざっと眺めた男たちは下賤な笑い声をあげる。
「ははっ、こりゃあいい。顔も体も極上品だな。おい、ちゃんと押さえてろ」
強引に仰向けに寝かされたステラは、腕を、足を、口元を押さえられる。
抵抗はしたが身動きが取れない。
こみ上げる口惜しさを飲み込みながら、ステラは男たちを睨んだ。
一歩間違えればあの酒場で男たちに捕まり、何をされていたかわからない緊迫した状況だったのだ。
しかし、たとえ気に入らなくてもライルは従兄で同じ屋敷の同居人、いわば家族だ。
それ以前に、人として危うい状況にある人間を見過ごすことなど、ステラは絶対にしたくなかった。
人目に付きにくい道筋へ足を運ばせ、男たちとの距離は徐々に遠ざかってきた。
逃げ切れる。
そう思った時だった。
ーーパァンと、突如として発砲音が聞こえた。
かすかに鼻につくこの臭いは火薬だろうか。
いつの間にか、無意識に、脱力して、ステラの体はぐらりと地面に向かって傾いた。
「あ……」
そのまま、勢い余って路上に倒れこんだ。
ステラは自分の右肩に視線を移すと、肩口から生温かいものが腕に伝わった。
銃弾が、ステラの肩をかすめていた。
(血……? 私、撃たれたの……?)
「邪魔をしやがって……、おい女、起きろ!」
撃たれた側の肩を掴まれ無理やり起こされたステラは、男二人に後ろから両腕を締め上げられた。
「手間をかけさせるんじゃねえよ。お前のせいでライルの馬鹿が逃げちまったじゃねえか。どう落とし前つけてくれるつもりだ? あぁっ?」
怒声を浴びせた男はステラの頬を平手打ちした。
そして、男は乱暴にステラの寝衣に手をかけると、憂さ晴らしでもするかのごとくボタンごと衣服を引きちぎる。
「きゃああっ」
胸元が露わになり、ステラは恐怖で叫んだ。
彼女の体をざっと眺めた男たちは下賤な笑い声をあげる。
「ははっ、こりゃあいい。顔も体も極上品だな。おい、ちゃんと押さえてろ」
強引に仰向けに寝かされたステラは、腕を、足を、口元を押さえられる。
抵抗はしたが身動きが取れない。
こみ上げる口惜しさを飲み込みながら、ステラは男たちを睨んだ。