夢幻の魔術師ゲン
「ス……ステラちゃん。いっ、いま何て……」
「クロスティアって言いましたけれど……それが何か?」
「いやあー、今日もいい天気だねぇ、ニーネ」
「ほ、本当ねぇ、あなた。あぁ、こんな日には是非お庭でお食事をしたいものだわ。おほほほほー」
無理に話をそらす二人の顔は明らかに引き攣っている。
ベルの態度といい、クロスティアが一体何だと言うのだろうか。
「あの、おじさま、おばさま。一体どうしたんですか? クロスティアって、そんなに有名なんですか?」
「だあーっ、言わなくていいよ、ステラちゃん。うん、それ以上は本当に。いいかい? この街でそれは禁句だよ。でないと皆驚いてしまうからね」
確かにものすごい驚きようだった。
だが、それがなぜかをステラは知りたい。
「……どうして禁句なんですか? クロ……あ、それってそんなに危ないんですか?」
「危ないというか何というか……。いや、それにしてもどうしてステラちゃんがそれを知っているんだい?」
「えっ……それは……その」
不審の眼差しで叔父も妻もステラを見た。
昨夜出会った少年が言っていた、などと言えば当然理由を問われるだろうし、それがすなわちライルのしでかした問題の発覚に繋がりかねない。
どう答えるべきか悩み、じんわりと背中に冷や汗が流れ出る。
「ええと~、お父さんが昔言っていたような気がして……思い出したというか……ですね」
「ジェノンが? ふむ……まぁ、彼もグローナの出身だからね。ク……クロスティアというのは、この街に住む者ならだれでも知っているけれど、あれはとても恐ろしい所だ。いいかい? くれぐれも、くれぐれも近づかないように」
「……はい」
二度押しされ結局クロスティアが何なのか、どのような場所なのか知ることはできなかったが、行くな行くなと言われるほど人という生き物は興味をそそられるものである。
叔父の話では、ステラもライルと同じ学校に通わせてもらえるようだが、手続きなどの関係でそれはまだ数日先だとということ。
好奇心旺盛な少女は、叔父の忠告を無視してかの場所に行ってみようと、ひそかに決意したのだった。
「クロスティアって言いましたけれど……それが何か?」
「いやあー、今日もいい天気だねぇ、ニーネ」
「ほ、本当ねぇ、あなた。あぁ、こんな日には是非お庭でお食事をしたいものだわ。おほほほほー」
無理に話をそらす二人の顔は明らかに引き攣っている。
ベルの態度といい、クロスティアが一体何だと言うのだろうか。
「あの、おじさま、おばさま。一体どうしたんですか? クロスティアって、そんなに有名なんですか?」
「だあーっ、言わなくていいよ、ステラちゃん。うん、それ以上は本当に。いいかい? この街でそれは禁句だよ。でないと皆驚いてしまうからね」
確かにものすごい驚きようだった。
だが、それがなぜかをステラは知りたい。
「……どうして禁句なんですか? クロ……あ、それってそんなに危ないんですか?」
「危ないというか何というか……。いや、それにしてもどうしてステラちゃんがそれを知っているんだい?」
「えっ……それは……その」
不審の眼差しで叔父も妻もステラを見た。
昨夜出会った少年が言っていた、などと言えば当然理由を問われるだろうし、それがすなわちライルのしでかした問題の発覚に繋がりかねない。
どう答えるべきか悩み、じんわりと背中に冷や汗が流れ出る。
「ええと~、お父さんが昔言っていたような気がして……思い出したというか……ですね」
「ジェノンが? ふむ……まぁ、彼もグローナの出身だからね。ク……クロスティアというのは、この街に住む者ならだれでも知っているけれど、あれはとても恐ろしい所だ。いいかい? くれぐれも、くれぐれも近づかないように」
「……はい」
二度押しされ結局クロスティアが何なのか、どのような場所なのか知ることはできなかったが、行くな行くなと言われるほど人という生き物は興味をそそられるものである。
叔父の話では、ステラもライルと同じ学校に通わせてもらえるようだが、手続きなどの関係でそれはまだ数日先だとということ。
好奇心旺盛な少女は、叔父の忠告を無視してかの場所に行ってみようと、ひそかに決意したのだった。