彼女の本能
棗「………逢ニ(あいじ)…くん…」







その男は少し癖がある黒い柔らかそうな髪をなびかせわたしを見下ろしながら言った













逢「何泣いてんの?」


彼の短い髪がおでこに触れくすぐったかった






棗「あ やだなー
変なとこ見られた、
あたしさっき彼氏に振られちゃってさー



もーホントやんなる…」



ふっ…




わたしが下を向いた瞬間何かが顔を包んだ――









逢「…棗
下向いてっと運気下がるぜ?」




ぶっ…

口を片手で挟まれてしまった
いきなりのことでわたしの顔は真っ赤になる






逢「元気だせよ
化粧ぐちゃぐちゃになっちゃうよ
もー泣くんじゃねーの」


そーゆうと彼はわたしの頬に手をもってきた











…席が隣りってだけでそんな話したことなかったけど
逢ニくんって優しいんだな…





しばらく見つめあう二人…


わたしはそっと目を瞑った――







< 4 / 35 >

この作品をシェア

pagetop