ほんとは優しい私のオオカミ ①
また、映像がスライドしていく。
中学3年生のときのものだった。
中学の3年間、彼は私にずっと話しかけてきた。
【瑠奈…。どうして避けるの?】
【悪いことしたなら謝るよ…】
【また、一緒に学校行こうよ】
【前みたいに瑠奈と話したいな】
悪いのは私なのに、何も知らない彼は私ばかりを気遣ってくれる。
そのすべてを私は避け続けた。
彼はもう小学生のときと違って、背も私よりも全然高くて、声も低くなって、周りからも人気が出て…女子からも告白されるようになった。
私には遠くの存在になってしまっていて違う世界の人みたいに思えて。
どうしても『好き』なんて言えなかった。
だから、この気持ちを隠すために彼から避け続けた。
それによって、だんだんと歯車が狂っていることも知らずに……