ほんとは優しい私のオオカミ ①
ただ優也に手を引かれるまま階段を上り部屋に入る。
優也の部屋だ。
優也「…大丈夫ですか?」
そっと私の濡れた頬を拭ってくれる優しい優也。
瑠奈「え…?あれ、なんで…泣いてなんか…」
いつの間にか涙を流していることを不思議に思う。
ぎゅっと優也が私を抱きしめてくれ今の私にはそれが有難かった。
しばらく、優也の胸の中で静かに涙を流していると優也が独り言のようにつぶやいた。
優也「…翔が好きなんですね…」
私が…翔を…好き。
1度認めてしまうと想いはどっと溢れてきてさらに涙が零れた。
好き…好き…翔が好き…。
この涙がその証拠なのかも知れないと思った。
それでももうこの恋は終わったも同然なのだ。
翔には咲という彼女がいて翔もそれを認めている。
想いを告げることは叶わないのだった。
そんな私の思いを知ってか知らずかずっと優也は優しく抱きしめ続けてくれていた。