ほんとは優しい私のオオカミ ①
ホールからの音楽がバルコニーにいるため控えめに聞こえる。
それに合わせてステップを踏んでいく。
翔のリードは完璧で何も考えなくても次のステップが足軽に踏める。
翔、ワルツなんて踊れなさそうなのに…。
すっごい上手。
チラリと翔の顔を見上げると、ニコリと笑いかけられ慌てて目をそらす。
いつもはムスッとした顔なのに不意打ちの笑顔で心拍数がみるみる上がる。
何をやっているんだ私は、翔には咲さんという彼女さんがいるのに。