ナツ恋。
「シュウ、ごはんだって。行こう?」
「うん、ホース片付けるの手伝ってくれる?」
「わかった!」
二人に可愛がられているこの子も、きっと温かい子なんだろうな。
だって、俺に向けてくれる笑顔が既に温かいから。
「わ、美味しそうですね」
「取れたての新鮮な野菜なんよ、さぁさぁお食べ」
「おばあちゃん、お茶がないよ」
「あらま、夏香ちゃん取ってきて?」
「はーい」
元気な返事をして台所に行ったナツを、二人は慈愛に満ちた目で見ていた。
「夏香はずっと寂しい思いをしとってな。ああやって笑ってくれて安心しとる反面、心配なんや」
「心配?」
「私ら娘、あの子の母親や父親と離れてしもうて、きっと寂しいはずなんよ」
言われてなんとなくひっかかっていたことがようやくわかった。
ナツは親のどちらにもついていないんだ。