ナツ恋。
所々寄り道しながら、2時間くらいかけて大体の場所は回った。
最後は………。
「ナツ、ここ俺の家だよ」
「えっ!ここって…」
「うん、俺のおじいさんがここが村だった時村長をやってたんだ」
さすがに、元村長の家は知っていたらしい。
ここに引っ越して来た時に、なんらかの形でじいさんに挨拶をしているはずだ。
もう、村長でもないんだけど、やっぱり風習とかはなくならないみたいだ。
「シュウはお坊ちゃんだったんだね…」
「え、そうでもないよ。ただの頑固じじいの孫さ」
「あははっ!おじいちゃんがここのおじいさんは難しい人だって言ってた」
「俺なんか毎日のように、男がそんななよなよしとってどうすんじゃ!ってお説教されるんだ。失礼だよね」
「うーん、確かにシュウって華奢だよね」
「あはは…耳が痛いよ」
顔も中性的だし筋肉もつきにくい体だから、それなりに気にしてはいるんだけどね…。
「ねぇシュウ、お家の後ろにあるあの木大きいね」
「ナツは目を付ける所がいいね。あの木、樹齢100年は越えてるんだって」
夏は木陰に入ると涼しくて気持ちがいい。