ナツ恋。
シュウは小走りで私のところまでくると、その爽やかな笑みを私に向けた。
「麓に小さな家があったでしょ?そこにお遣いに行ってたんだ。うちのじいさんと親しいんだよ、そこの人」
「そうなんだ…」
木が茂っていて、暗いこの道を通るのは少し怖かったから、内心シュウのおかげでかなりホッとした。
「今帰り?遅かったね」
「うん、部活の見学してたの」
「あぁ…そうだったんだ。何部にするか決めた?」
「うん、茶道部にしようかなって」
「えっ」
シュウは立ち止まって、戸惑ったように目を泳がせた。
いつもとは違うその反応に違和感を覚える。
「どうかした?」
「いや…そっか、茶道部か…まいったな」
困ったような表情。何かあるの?