ナツ恋。



私が惚けている間も、シュウは流れるような手つきでお茶を点てる。



素人の私でもわかる。



無駄な動き一つなく、洗練とされた腕前だった。



「さすが柊哉先生ー!」



部員の女の子たちも、シュウに魅入っている。



講師としてのシュウは、いつも私に接する時のシュウじゃなかった。



先生としての凛としたシュウの振る舞いに慣れなくて、一人過剰に意識してしまい、全く集中できなかった。



「日野さん、集中できてないよ」

「は、はい」



“ナツ”ではなく“日野さん”と呼ばれるのも、ものすごい違和感がある。



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