嫌われたがりと天邪鬼 完

わたしに…いや、『誰か』に話したくて、けれど話せる相手なんてわたししかいないから呼び出したくせに。そうやって無意識に誤魔化そうとする那智に苛立ち、わたしは今度は枕をぶつけてやった。またもそれは顔面に大当たりする。

痛いなあ、なんて口を尖らせて、那智はテディベアと枕を抱え込んだ。まるで幼い子が寂しさを紛らわそうとするかのように。



「那智のそういうとこ、ほんとうざったい。じゃあ言い直すわよ、機嫌悪いんじゃない、不安なんでしょ」

「………」

「今日の昼休み、呼び出されてたもんね」

「………」

「あの子、B組の米倉さんでしょ?」

「……彼女、そういう名前だったんだ?」



那智が諦めたような笑みと一緒に小さく吐き出した。やっぱりか、とわたしはようやく話す気になったらしい幼馴染みにばっかじゃないのと毒を吐く。

…告白されて不安になる、だなんて。
コイツ以外に、わたしはそんな奇特な奴は知らない。



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