嫌われたがりと天邪鬼 完
僕はまたポテトチップスの袋に手を伸ばした。食べカスを零されて、不快そうに美由紀は顔を歪める。
「ちょっと、アンタわざと食べカスをわたしに向けて零してるでしょ?」
「え? 勿論だよ」
「殺すわよ」
ほんと性格悪い。吐き捨てた美由紀に「今更だよ」と笑った。今更だよ美由紀、きっかけが何だったにせよ、僕のこの性格はもう今更直ることはないだろう。別に直したいとも思わない、だから君が悪い人で良かったと思うんじゃないか。
もしも君が聖人君子だったのなら、僕はきっと君の傍にはいられない。きっと居心地が悪くて逃げ出すだろう。どれだけ美由紀のことが好きだったとしても、だ。
だけれども、君は多少なりとも悪い人だったから。悪いところを持つ人だったから、今、僕は君のことを堂々と抱き締めることが出来るんだ。これからも君の隣にいたいと望むことが出来るんだよ。
「美由紀の口の悪さって中々女子としては落第レベルだよね。顔も僕みたいな突出した美人でもないんだし、そこ直さないと結構アウトだと思うよ」
「アンタに言われたくないわ。那智は男とか女とかの前に人間として落第してるレベルでしょうが」
今にも全身の毛を逆立てそうな凶悪面で美由紀が唸る。それがあんまり嬉しくて、僕の頬はついつい緩んだ。
「ちょっと、アンタわざと食べカスをわたしに向けて零してるでしょ?」
「え? 勿論だよ」
「殺すわよ」
ほんと性格悪い。吐き捨てた美由紀に「今更だよ」と笑った。今更だよ美由紀、きっかけが何だったにせよ、僕のこの性格はもう今更直ることはないだろう。別に直したいとも思わない、だから君が悪い人で良かったと思うんじゃないか。
もしも君が聖人君子だったのなら、僕はきっと君の傍にはいられない。きっと居心地が悪くて逃げ出すだろう。どれだけ美由紀のことが好きだったとしても、だ。
だけれども、君は多少なりとも悪い人だったから。悪いところを持つ人だったから、今、僕は君のことを堂々と抱き締めることが出来るんだ。これからも君の隣にいたいと望むことが出来るんだよ。
「美由紀の口の悪さって中々女子としては落第レベルだよね。顔も僕みたいな突出した美人でもないんだし、そこ直さないと結構アウトだと思うよ」
「アンタに言われたくないわ。那智は男とか女とかの前に人間として落第してるレベルでしょうが」
今にも全身の毛を逆立てそうな凶悪面で美由紀が唸る。それがあんまり嬉しくて、僕の頬はついつい緩んだ。